獣医師による手作り食・自然療法ガイド

サンプルレシピ

ステージ2・3・4

こちらに掲載するレシピは、慢性腎臓病のステージ2〜4の犬・猫向けのベースレシピで、リンとタンパク質の量が少なめになっています。

慢性腎臓病は、腎臓だけではなく、全身に障害を起こす複雑な病気です。同じステージでも症状や検査結果がまったく異なることがあります。高齢期に起こりやすいため、他の病気が併発していることもあるでしょう。本来であれば、1頭1頭の体質や併発症、検査結果に合わせて、専門獣医師がレシピを処方するのが理想的ですが、近くに専門病院がない等の理由でお困りの方のためのスタートガイドとしてこちらのレシピを掲載しました。

こちらのレシピをベースとし、慢性腎臓病の食事療法ガイドを読みながら、愛犬または愛猫の状態に合わせて調節を行なってください。

すでに手作り食を実践している方へ

今まで手作り食を与えていた方は、こちらのレシピを使用する必要はありません。慢性腎臓病の食事療法ガイドを見ながら、今まで与えていた食事をアレンジしましょう。

診断されたばかりの方へ

慢性腎臓病と診断されたばかりの場合は、状態の安定化が最優先です。かかりつけの病院で処方された療法食や治療薬で状態が安定し、血液検査などの数値が一定になったら、手作り食へ切り替えましょう。

食欲を回復するために手作り食を考えている方は、腎臓によい食材やサプリメントを現在の食事に加えるところから始めましょう。

腎臓病予備軍・ステージ1の場合

早期の腎臓病または予防目的で手作り食を考えている場合は、今すぐに療法食に変更する必要はありません。人工的なペットフードをやめて本来肉食である犬猫の食性と健康を考えたバランスのよい手作り食に変更するだけで状態が改善することがよくあります。これに腎臓によい食材やハーブ、サプリメントを加えるとよいでしょう。

猫用レシピ

材料

A

  • 肉または魚 500 g
  • 卵白(ゆでたもの)100 g
  • 白米(炊いたもの)300 g
  • 緑黄色野菜 約100 g
  • カルシウム 1200 mg

B

作り方

  1. 肉・魚を流水で洗い、一口大にカットする。生で与える場合はそのまま、加熱する場合は軽く蒸すか少量の水でゆでる。魚を生で与える場合は刺身用を使うこと。
  2. 野菜はすりおろすかミキサーで混ぜる。
  3. Aの材料をすべて混ぜ合わせ、1食分ずつ小分けする。
  4. 生で与える場合は最初に3日以上冷凍保存する。与える前日に冷蔵庫で解凍し、湯煎または湯少々を混ぜて体温程度に温め、Bを加えて与える。
  5. 調理した場合は、1食分にBを加えて温かいうちに与える。調理に使った水も捨てずに食事や飲み水に加えて与えること(タウリンなどの栄養分が流出するため)。残った分は冷蔵庫(2〜3 日中に与えない分は冷凍庫)で保存し、与える直前に温めて、Bを加えてから与える。

 鶏もも肉(皮付き)とケール・ゆでブロッコリー・人参(30 gずつ)を使用した場合

 レシピ全量のカロリー 1724 kcal

 体重 3 kg 4 kg 5 kg 6 kg 7 kg 8 kg
1 日分 1/9量 1/7量 1/6量 1/5量 1/5量〜1/4量 1/4量
  • 1 日2〜3 回に分けて与える。量は体重を測りながら加減する。

 鶏もも肉(皮付き)とケール・ゆでブロッコリー・人参(30 gずつ)を使用した場合

水分 68.4%

水分を除いた乾物換算

たんぱく質 33.7%
脂質 27.0%
炭水化物 37.4%
  たんぱく質 脂質 炭水化物 カルシウム リン
1000 kcalあたり 61.2 g 49.0 g 68.0 g 720 mg 493 mg(0.27%)
成猫必要量 50 g〜 22.5〜82.5 g   720 mg〜 640 mg〜

カルシウム:リン= 1.4:1

犬用レシピ

材料

A

  • 肉または魚 400 g
  • 卵白(ゆでたもの)100 g
  • 白米(炊いたもの)300 g
  • 緑黄色野菜 約200 g
  • カルシウム 1100 mg

B

作り方

  1. 肉・魚を流水で洗い、一口大にカットする。生で与える場合はそのまま、加熱する場合は軽く蒸すか少量の水でゆでる。魚を生で与える場合は刺身用を使うこと。
  2. 野菜はすりおろすかミキサーで混ぜる。
  3. Aの材料をすべて混ぜ合わせ、1食分ずつ小分けする。
  4. 生で与える場合は最初に3日以上冷凍保存する。与える前日に冷蔵庫で解凍し、湯煎または湯少々を混ぜて体温程度に温め、Bを加えて与える。
  5. 調理した場合は、1食分にBを加えて温かいうちに与える。調理に使った水も捨てずに食事や飲み水に加えて与えること(タウリンなどの栄養分が流出するため)。残った分は冷蔵庫(2〜3 日中に与えない分は冷凍庫)で保存し、与える直前に温めて、Bを加えてから与える。

 鶏もも肉(皮付き)とケール・ゆでブロッコリー・人参(65 gずつ)を使用した場合

レシピ全量のカロリー 1527 kcal

 体重 5 kg 10 kg 15 kg 20 kg 25 kg 30 kg
1 日分 1/4量〜 1/3量〜 1/2量〜 2/3量〜 3/4量〜 全量〜
  • 1 日2〜3 回に分けて与える。量は体重を測りながら加減する。

鶏もも肉(皮付き)とケール・ゆでブロッコリー・人参(65 gずつ)を使用した場合

水分 71.0%

水分を除いた乾物換算

たんぱく質 31.5%
脂質 23.6%
炭水化物 42.9%
  たんぱく質 脂質 炭水化物 カルシウム リン
1000 kcalあたり 59.5 g 44.7 g 123.8 g 720.4 mg 497.7 mg(0.26%)
成犬必要量 25 g〜 13.8〜82.5 g   1000 mg〜 7500 mg〜

カルシウム:リン= 1.4:1

モニタリング

手作り食への切り替え時は、1〜2週間おきの血液検査や体重の測定が重要です。特に次の項目に注意し、結果に合わせて食事の調節を行いましょう。体重や検査結果が安定したら、数ヶ月おきの検査で大丈夫です。

  • 体重:自宅で定期的に測定して、食事量を調節しましょう。
  • 飲水量:手作り食は水分が豊富なため、切り替え時に飲水量が減ることがあります(特にドライフードから切り替えた場合)。特に猫の場合は、食事から水分を摂取するのが自然な形であるため、水入れから水を飲まなくなることがあります。尿量が減らない限りは心配することはありません。» 詳しくはこちらから
  • 血中リン濃度:ここに掲載したレシピではリンの量を制限しています。低リン血症になったら卵白の量を減らし、肉や魚で置き換えましょう。リンの濃度が上昇した場合は、卵白の量を増やし、肉・魚の量を減らします。» 詳しくはこちらから
  • BUN尿毒症を起こしにくい60〜80 mg/dL未満で維持することが目標です。この範囲を超えたら、肉や魚の量を減らし、その分のカロリーを白米や芋類、脂質などで補います。BUNが標準範囲内に低下した場合は、肉や魚を少しずつ増やし、炭水化物を減らしていきましょう。» 詳しくはこちらから
  • 尿蛋白クレアチニン比(UPC):3 を超えたら、肉や魚の量を減らし、その分のカロリーを白米や芋類、脂質などで補います。» 詳しくはこちらから