獣医師による手作り食・自然療法ガイド

水分摂取量を増やす

予防 ステージ1・2・3・4

腎臓の機能が低下すると、尿を濃縮することができなくなり、水分が多い薄いおしっこがたくさん出るようになります。尿量が増えたことがきっかけで愛犬や愛猫が慢性腎臓病だと診断された方も多いのではないでしょうか。

本来なら体に残るはずの水分が尿と一緒に排泄されてしまうため、体は脱水状態になりやすくなります。脱水は、食欲不振、嘔吐、便秘などの症状を引き起こすと同時に、腎臓の低酸素症を悪化させて残っている腎臓組織の損傷をも招くため、なるべく早期のうちに対策をとる必要があります。

飲水量を増やす方法

1. 新鮮な水をいつでも飲めるようにしておく

解毒排泄器官である肝臓や腎臓の負担を減らすため、浄水器で不純物や化学物質を取り除いた新鮮な水を与えるのが理想的です。でも、水道水や雨水でないと飲んでくれない場合はそれでも大丈夫。まずは飲んでくれることが先決です。特に猫ちゃんは、野生時代の主な水源が獲物の血液や肉だったため、水を進んで飲む動物ではありません。

MEMO
選り好みをする子には、水の種類(ミネラルウォーター、水道水、蒸留水、濾過水など)、水を置く場所、水入れの材質(ガラス、陶器、ステンレスなど)も変えてみましょう。流水が好きな子には、噴水式の給水器がおすすめです。

2. 手作り食に切り替える

本物のお肉やお魚の6割以上は水分だということをご存知ですか?

例えば・・・

  • 鶏ムネ肉(皮なし):水分72.8% + タンパク質24.4% + 脂質 1.9%
  • 牛肩赤肉:水分66.3% + タンパク質20.2% + 脂質12.2% + 炭水化物0.3%
  • いわし:水分68.9% + タンパク質19.2% + 脂質9.2% + 炭水化物0.23%

ゆでたり焼いたりしても水分量は数パーセント減る程度。付け合わせで与える野菜や果物、穀物も水分が豊富ですから、手作り食の場合は食事の量の6〜8割が水ということになります。水を飲みたがらない犬猫でも水分を十分に摂取させることができますし、猫の場合は、食事から摂取する水分以外に水をほとんど飲まなくても脱水状態にならなくなります。

これから手作り食に切り替える方は「タンパク質の量を維持する」を参考に、切り替えを行いましょう。

手作り食に切り替えたくない場合は、せめてドライフードを避け、水分を多く摂取できる缶詰フードか水で戻すフリーズドライタイプにしてあげてください。

サンプルレシピ

3. 食事をスープにする・水に味をつける

ボーンスープ、肉や魚のゆで汁などを食事や飲み水に加えます。飼い主さんの中には、スープを飲まないと食べ物にたどり着かないくらいたっぷりのスープを食事にかけて与えるようにして、皮下点滴をほとんど行わずに済むようになった方もいます。

癒しのボーンスープ

4. ココナッツウォーターとココナッツミルクを利用する

ココナッツウォーターやココナッツミルクは電解質(特にカリウム)が豊富で、体組織に水分を行き渡らせ保持するのに役立ちます。

特に猫では腎臓の機能低下に伴って低カリウム血症になることが多く、カリウム薬を食事や点滴に混ぜることがよくあります。普段から少量のココナッツウォーターやココナッツミルクを食事や水に混ぜて与えることで、薬で補正する頻度や回数を減らすことができます。

ただし、ココナッツウォーターは糖分が多く、ココナッツミルクは脂肪分が多いので、大量に与えることは避け、薄めて少量ずつ与えるようにしましょう(ボウルに大さじ1/2〜1 程度から)。

動物病院で犬猫用の電解質溶液を購入することもできます。

5. 温めた皮下輸液を行う

食事だけで脱水を緩和できない場合は、無理せずに動物病院に相談し、皮下点滴を行ってもらいましょう。獣医師が必要と判断すれば、静脈点滴が行われる場合もあります。いずれの場合も、点滴剤をやや温めた状態で投与するとよいでしょう。

食欲もない場合は、病院で鼻チューブを設置してもらい、流動食を直接胃に流し込むことができます。

脱水のチェック方法
  • 歯茎チェック:濡れてヌルヌルとしてれば大丈夫です。ネバネバしていたり、乾燥している場合は要注意。
  • 皮膚つまみテスト(ツルゴール):首〜肩のあたりの皮膚を指でつまんでテント状に持ち上げ、指を離した時にすぐに戻ればOK。戻るのが遅かったり、そのまま戻らなかったら脱水している可能性があります。高齢になると戻る時間が長くなるため、脱水していない時の正常な状態を知っておきましょう。
  • 目の陥没具合:脱水が重度になると目が陥没して見えます。正常な時の目頭と眼球の位置関係を知っておきましょう。
注意
鼻のかわき具合では脱水状態は測れません。
Step 0
モニタリング

食事療法や治療がうまくいっているかどうかを知るために病院と自宅の両方で経過観察を行いましょう。

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Step 1
タンパク質量を維持

最初に減らさなくてはいけないのはタンパク質ではなくてリン。タンパク質量を減らさずに筋肉量をどれだけ長く維持できるかが寿命を決める鍵です。

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Step 2
水分量を増やす

脱水は食欲不振や嘔吐の原因になるだけでなく、腎臓組織にもダメージを与えます。早期のうちから積極的な水分摂取を心がけましょう。

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Step 3
温かい食事

腎臓への血流を促して細胞の寿命を延ばします。

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Step 4
炎症を抑える

慢性腎臓病の大きな原因である炎症から腎臓を守りましょう。

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Step 5
リンの量を制限

食事中のリンの量を制限すると慢性腎臓病の進行を抑制できることがわかっています。

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Step 6
タンパク質を制限

タンパク質の量を減らす正しいタイミングを学びましょう。

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Step 7
食事でできるその他のこと

一頭一頭違う体の状態や検査結果に合わせて必要な対策を取ることで快適に過ごしてもらうことができます。

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