獣医師による手作り食・自然療法ガイド

温かい食事を与える

予防 ステージ1・2・3・4

温かい食事を与えることは健康の基本ですが、腎臓の冷えが進む高齢期と慢性腎臓病では特に重要になります。体温程度に温めた食事を与えるようにましょう。

温かい食事の効果

1. 全身の血行を促進

腎臓組織の機能や寿命の維持には、養分や酸素を運んでくる血液が必要です。腎虚血(腎臓に十分な血液が行き渡らないこと)と腎低酸素症(腎臓が酸欠状態になること)は、腎臓の組織を障害することで、腎臓病を進行させます。

温かい食事を与えると、全身の循環が促され、腎臓にも十分な血液や酸素を送ることができます。また、食物の消化吸収率も改善するため、細胞の維持に必要な養分をきちんと食物から取り出すことができるようになります。

2. 腎臓を温めて全身状態を改善

腎臓は老廃物を排泄するだけでなく、エリスロポエチンというホルモンを産生して血液の生成を助ける、ビタミンDを活性化してカルシウムとリン代謝を調節する、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を介して体液の恒常性を保つ、といったさまざまな役割を持っています。

加齢に伴う腎臓の冷えや腎臓病が進むとこれらの機能も一緒に低下し、貧血や高リン血症、二次性上皮小体亢進症、高血圧、浮腫といったさまざまな合併症が現れます。

温かい食事で腎臓を温め、腎臓の機能を維持することはこういった全身の症状の緩和にも役立ちます。

犬猫の体温は38〜39˚C。
手で触ってちょっと温かいくらいの温度に食事を温めてあげましょう。
腎臓の冷えには腹巻を
腎臓の冷えが進むと、下半身の冷えの症状(後ろ足や腰がふらつく、薄い尿や尿失禁が多くなる、足先が冷たい、むくみ、寒がる)と上半身の熱の症状(口渇、嘔吐、落ち着きがない、夜鳴き、発咳など)が顕著になることがあります。特に寒がりで暖かい場所を好む場合には、腹巻きで腎臓を温めてあげると症状の緩和に役立つことがあります。
Step 0
モニタリング

食事療法や治療がうまくいっているかどうかを知るために病院と自宅の両方で経過観察を行いましょう。

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Step 1
タンパク質量を維持

最初に減らさなくてはいけないのはタンパク質ではなくてリン。タンパク質量を減らさずに筋肉量をどれだけ長く維持できるかが寿命を決める鍵です。

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Step 2
水分量を増やす

脱水は食欲不振や嘔吐の原因になるだけでなく、腎臓組織にもダメージを与えます。早期のうちから積極的な水分摂取を心がけましょう。

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Step 3
温かい食事

腎臓への血流を促して細胞の寿命を延ばします。

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Step 4
炎症を抑える

慢性腎臓病の大きな原因である炎症から腎臓を守りましょう。

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Step 5
リンの量を制限

食事中のリンの量を制限すると慢性腎臓病の進行を抑制できることがわかっています。

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Step 6
タンパク質を制限

タンパク質の量を減らす正しいタイミングを学びましょう。

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Step 7
食事でできるその他のこと

一頭一頭違う体の状態や検査結果に合わせて必要な対策を取ることで快適に過ごしてもらうことができます。

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