獣医師によるペットの自然食・自然療法ガイド

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うちのワンコ・ニャンコに合うお肉はどれ?

2017/01/03

犬猫の主食の肉の選び方を獣医師が解説。

犬猫の主食として大切なお肉。チキン、ビーフ、ラム、ポーク、ダック、ターキー、ベニソン・・・ペットフードを利用している方も、手作り食を作っている方も、今はさまざまな選択肢があります。

 

皆さんは、どうやって選んでいますか?

 

2015~2016年に私たちが実施した飼い主さまアンケート調査では、「ペットがよく食べてくれるから」が一番多い回答でした。

 

私たちもこの方法に賛成です。動物には自分に足りないものを補う本能が備わっているため、ぺット自身に選ばせることで、私たちが気づかない不足を補える可能性があります。ただし、ペットフードの場合は、嗜好性を高めるための工夫がされていたり、依存性の高い食材や調味料が使用されている場合があるので、ぺットの好みはまったくあてになりません。また、猫ちゃんの場合も、離乳期にどんな食べ物を経験したかで味の好みが決まってしまうため、あまりあてにはならないでしょう。

 

そこで今回は、愛犬・愛猫に最適な食材を選ぶ際のひとつの基準として、食べ物が体温に及ぼす作用について考えてみたいと思います。

体を温めてくれる肉・冷やしてくれる肉

下の図に、[体を温める作用]→[体を冷やす作用]の順にお肉を並べてみました。

犬猫の主食の肉の選び方を獣医師が解説。

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体を温める肉

体を温める作用のある肉は、エネルギーを作り出して体全体を温め、気力を養うと同時に、冷えからくるさまざまな不調を解消。全身の代謝機能や循環を活性化して、不要な水分や脂肪の貯留を防いでくれます。こういった全身的な効果に加えて、特に胃腸を温めることで消化機能を促進し、エネルギーや血液を作りやすくしてくれるもの(ラム・チキン・ターキー)、高齢期に多い腎臓や肝臓の冷えを緩和してくれるもの(ラム・チキン・ベニソン)などに分けられます。特にチキンは胃腸に優しく、病後の回復期や胃腸の弱りにも最適な食べ物です。

特に冬の寒い時期寒がりなコはこの中から主食を選ぶとよいでしょう。また、虚弱体質貧血人見知りが激しく怖がり疲れやすい多尿胃腸が弱い足腰が弱い慢性疾患がある犬猫にも適しています。

どのような犬猫にもおすすめできる万能食材ですが、このタイプの肉ばかりを与えていると、興奮しやすくなる、血圧が上がる、攻撃的になる、落ち着きがなくなるなどの症状が出る場合があります。こういった症状が気になる場合は、中間タイプや体を冷やすタイプの肉も取り入れて、偏りすぎないようにしましょう。

中間タイプの肉

中間タイプの肉は、主に体を潤すことで体内温度を調節してくれます。皮膚や粘膜の乾燥乾いた咳便秘など、乾燥による症状を起こしやすい犬猫に向いています。体の水分が足りなくなる夏の暑い時期暑がりなコでは、体温の上昇を防いでくれます。高齢動物では腎臓に十分な水分を補うことで、腎臓を保護し、老化を緩やかにしてくれます。これらの食材の中には、利尿を促すものも含まれています(ダック)。

中間タイプの肉を過剰に与えすぎると、むくみや肥満、水分貯留などの原因になることがあります。

また、ビーフは犬でも猫でも食物アレルギーの一番の原因であることが報告されていますから、アレルギーを起こしやすい傾向にある犬猫では注意した方がよいでしょう。

体を冷やす肉

体を冷やすタイプの肉は、体内にこもった異常な熱(炎症)を冷ましてくれる作用があります。かゆみや赤みのある皮膚炎繰り返す膀胱炎結膜炎発熱を伴う急性疾患攻撃性興奮しやすい無駄吠えなどが見られる時におすすめです。

ただし、常食にすると胃腸の冷えが進むことでさまざまな病気を起こす可能性があるので、上手に利用しましょう。

犬猫の体質から選ぶ

犬猫の体質別にみてみると、火・木タイプの犬猫は、体の中に熱がこもりやすいので中間タイプのお肉が適しており、特に暑がっている時には体を冷やす肉を使います。金・水タイプの犬猫は冷えやすいので、体を温めてくれるお肉がよいでしょう。土タイプは、どの種類のお肉でも大丈夫ですが、太りやすい傾向にあるので、やはり代謝を促進してくれる体を温めるタイプのお肉がおすすめです。

うちの犬猫は何タイプ?

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調理方法によって作用を調節

さて、「今日はチキンがお買い得だったから、チキンを食べさせたい!でもうちのコは暑がりだし…」という場合はどうしたらいいでしょうか。

こういった場合は、調理の方法によって作用を調節することができます。

例えば、鶏肉やラム肉の体を温める作用をやわらげたい場合は、体を冷やす効果のある「生」の状態で与えるとバランスがよくなります。ただし生といっても、冷たいまま与えると消化が悪くなりますから、室温か体温程度まで温めてあげるようにします。

犬猫に生肉を与える際の注意点

生に抵抗がある場合は、「蒸す」か「水炒め」にすると、温める作用を最小限にすることができます。水炒め(ウォーター・ソテー)は、フライパンに少量の水(大さじ1~2)を入れて中火で熱し、湯気が立ち始めたら、材料を入れて蓋をし、数分間調理する方法です。使用した水を一緒に与えれば、流れ出てしまった栄養成分も与えることができます。

 

では、貧血気味なので鉄分が豊富な馬肉を動物病院で勧められたけど、胃腸が弱いので心配・・・という場合はどうすればいいでしょうか。もう皆さんわかりましたね。

 

そう、体を冷やす効果のある食材は、ゆでたり、焼いたりすることで、体や胃腸を冷やす作用をある程度緩和することができます。

 

季節によっても、夏はローフード(生食)、冬は加熱調理食を中心にすることで、生理機能を常に最適なバランスで維持することができます。精神的にも安定し、穏やかな毎日を過ごせるでしょう。

 

ペットフードの場合は、ベーキング~ローストに相当し、体をかなり熱くする作用があると考えてください。ペットフードに生のお肉や刺身を少量混ぜるだけでも健康効果があるので、犬猫に生肉を与える際の注意点を参考にしながら、是非試してみてくださいね。

最後に

近年、犬猫の食物アレルギーが増えています。犬猫では、人間のピーナッツアレルギーや甲殻類アレルギーのようにアナフィラキシーショックを起こす真のアレルギーよりも、同じ食材をある程度の期間与え続けることで、その食材に対して不耐性や過敏性を起こす場合が多くみられます(かゆみなどの皮膚症状や軟便などの消化器症状が現れます)。

 

同じ種類の食品に偏らず、さまざまな食材をまんべんなく使用することで、ある程度は避けることができますが、消化機能が弱ったり、腸粘膜に異常が起きたような場合、何らかの理由で免疫系のバランスが損なわれた時などには、どのような犬猫でもアレルギーが生じる可能性があります。

 

食物アレルギーの診断や治療を行うには、疑われるすべての食品の給与を中止し、今までに与えたことのない食材に切り替える必要があります。そのため、上記に挙げた肉のうち、最低でも1種類は与えずに取っておくことが大切です。

 

手作り食を与えている場合は、飼い主の方がすべての材料を把握しているので速やかな診断や治療を行うことができますが、ペットフードを利用している場合は、購入の際に必ず原材料を確認し、鶏肉、豚肉、牛肉など、どの種類の肉が使われているかきちんと記載されているものを選びましょう。肉類・レバー・プロテイン・ボーンミール・副産物・ミールなどのように一般名で書かれているものについては、由来が確認できない場合があるので特に注意が必要です。

 

次回は、魚介類の温度について解説を行います。

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