獣医師による手作り食・自然療法ガイド

生ものを与える際の注意点

生の肉や魚にはさまざまな寄生虫や細菌、ウイルスが混入していることがあります。生食(ローフード)を与えている方から「犬や猫は人間よりも胃酸が強力だから生のまま与えても平気なんですよね?」とよく聞かれるのですが、残念ながらそうとは言い切れません。手作り食を食べているペットが病院を受診する理由で一番多いのは、嘔吐や下痢などの食あたり症状です。人間の食べ物と同じように衛生管理には十分気をつけてあげましょう。

幸い、ごく一般的な注意点をいくつか守るだけで、安全に生食を与えることができます。

購入後すぐに冷所に保存

肉・魚 ・卵など、生で与えるものは、購入後すぐに冷所に保存し、長時間室温で放置しないこと。購入の際には変色していない新鮮なものを選び、消費期限の確認も必ず行いましょう。

よく洗う

食中毒を起こす細菌は食材の表面についています。流水で洗ってから使用しましょう。また、準備の前後には調理器具や手指もよく洗いましょう。

冷凍処理する

冷凍保存することで寄生虫を死滅させることができます。肉を生で与える場合は必ず一度冷凍保存を行ってから与えてください。冷凍保存の期間は家庭用冷凍庫(-20℃)で最低3日。与える際は、前日から冷蔵庫で解凍し、熱湯をかけて温めて与えます。健康のためには冷たいまま与えないこともポイント。

豚肉・ひき肉は生で与えない

ひき肉は加工の段階で肉の内部まで細菌が入り込むため、洗い流すのが困難。豚肉には冷凍処理では殺せない寄生虫が内部に入り込んでいることがあります(特に輸入肉)。加熱調理してから与えましょう。

刺身を利用する

魚の寄生虫の種類は肉よりも多く、冷凍処理では死なないものがいます。生で与える場合は、刺身用(生食用)として売られている新鮮なものを利用するのが最適。内臓や頭部(特にエラ)は避けましょう。生食用以外の魚は加熱調理してください。

詳しくはこちらから
生食における食中毒・感染症予防ガイド

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