獣医師による手作り食・自然療法ガイド

4. 腸を修復する

腸とアレルギーの関係

アレルギーは、免疫系のバランスが崩れることにより、本来なら反応しなくてもよい物質に過剰に反応を起こすようになった状態です。

この免疫系の70〜80%を占めているのが腸。免疫系全体のバランスを整え、アレルギー症状を完全に抑えるには「破綻した腸の免疫系の修復」が重要なポイントになります。

腸管が正常に機能している場合、食べ物は効率よく消化吸収されます。もし未消化のまま残ってしまっても吸収されずにウンチとして排泄されるため問題は起こりません。しかし、消化管に炎症や損傷などの異常が生じると、未消化の食べ物が増え、腸壁を通り抜けて腸に隣接する免疫組織を刺激するようになります。

こういった刺激が軽度な場合や一時的な場合は、免疫組織がうまく対処できるため、免疫系には異常は起こりません。しかし、未消化の食べ物が大量または持続的に入ってくるようになると、免疫機能が破綻します。

​全身の免疫系は免疫細胞やシグナル分子を通して連絡しあっているため、このような腸管免疫系への刺激が長く続くと、全身の免疫系も過敏な状態になり、呼吸や皮膚を介して入ってくる食物以外のアレルギー物質(花粉やノミ、ハウスダストなどの環境アレルゲン)にも過剰な反応を起こすようになります。

食物アレルギー、環境アレルギー、ノミアレルギーなど複数のアレルギーが併発しやすいのは、これが理由です。実際に臨床現場では、食物アレルギーを起こしやすい牛乳や牛肉を与えるのをやめただけで、なぜかノミやハウスダストなどの環境アレルゲンにも反応しなくなるケースが見られます。

アレルギーの閾値説と加算効果とは

アレルギーの治療でもう一つ重要なコンセプトにアレルギーの閾値というものがあります。閾値(限界)を上回る量のアレルギー原因物質(アレルゲン)が体内に入ってくると、アレルギー症状が始まるという考え方です。

例えば、右の図で食物アレルゲンを、環境アレルゲンをとすると、少量のまたはが単独で体の中に入ってきても、アレルギー症状は起こりません。しかし、が同時に存在する場合、双方の量を合わせると閾値を超えてしまうため(加算効果)、症状が出るようになります。

閾値の高さには個体差があり、生まれつき閾値が低い子もいれば、食事やストレス、病気などさまざまな要因が理由で閾値が下がってしまう子もいます。

つまり、アレルギーの実際の原因だけではなく、(1)他のアレルゲンもできるだけ取り除くことでアレルゲン全体の量を低く保つこと、(2)サプリメントや食事療法など全身のバランスを整える治療で閾値を上げることの2つがアレルギー治療の目標となります。腸の修復は、このいずれにも役立ちます。

健康バランスの鍵!腸の修復ガイド
Step 1
原因物質を避ける

まずは原因物質との接触をできる限り減らしましょう。

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Step 2
食事療法

食事やサプリメント、ハーブの力でアレルギーを起こしにくい体を作ります。

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Step 3
漢方薬

症状が重く、ステップ1と2の効果を待っていられない場合には、漢方薬の力を借りることができます。

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Step 4
腸を修復

免疫系全体の70〜80%を担う腸を正常化して再発の防止に役立てましょう。

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番外編
ステロイドや抗生物質はいつ使う?

必要な時には怖がらずに使用。上手に使えば副作用も少なく、長期使用する必要もありません。

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その他
その他の治療方法

アレルギーの治療には他の方法も使用されています。

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