獣医師によるペットの自然食・自然療法ガイド

Naturally Healthy & Happy

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ノミアレルギーの治療

FLEA ALLERGY

ノミアレルギー治療の基本

ノミアレルギーの治療の基本はノミの駆除ノミの予防です。

一番効果的な方法は、毎年ノミの季節が始まる前に予防を開始すること。そうすることで、多くの場合はノミ駆除剤(殺虫剤)に頼らなくても自然療法で対策が行えます。

すでにノミが寄生し、アレルギーの症状が出ている場合は、まずはノミを徹底的に駆除することが先決。ノミアレルギーで苦しんでいる子だけではなく、同居する犬猫、カーペット、家具など、環境中からできるだけノミとノミの卵・幼虫を除去し、その後、再び寄生が起こらないようしっかりと予防を行っていきます。

特にノミの寄生がひどい場合には、自然療法にこだわらず、ノミの駆除剤や発育阻害剤を使いましょう。これらの殺虫剤の副作用よりもノミ寄生やアレルギーによる健康被害の方が大きいためです。

また、ノミの駆除と同時進行で、食事療法サプリメントの投与を行い、ノミを寄せ付けにくい健康な体アレルギーを起こしにくい体質に改善していくことも重要です。体の外(ノミの退治)と中(抵抗力を高める)から管理できるようになれば、副作用や環境汚染の心配がある殺虫剤に頼らずに自然療法によって予防を継続することができます。

ノミの駆除と予防

犬猫からノミを除去する

1. シャンプーで全身を洗う

ノミはシャンプーや石けんの泡で殺すことができるため、特にノミ専用のシャンプーである必要はありません。犬猫が入る大きさのシンクかバスタブにシャンプー剤を入れてぬるま湯で満たして泡風呂を作り、犬猫を入れて洗いながら5〜10分ほど置きます。

全身を濡らす前に、シャンプー剤を泡だて、犬または猫の首回り〜耳の後ろにのせておくとよいでしょう。いきなりお湯の中に犬猫を入れたり、シャワーをかけると、ノミが水から逃げようとして顔や頭に集中します。泡をのせておくことでこれを遮ることができます。

シャンプー剤を何度も使用すると皮膚が乾燥し、かゆみなどの症状が悪化することがあるため、ノミの寄生が落ち着いたら、洗剤を使わない薬浴に切り替えましょう。

​シャンプーを極度に嫌がる子、皮膚の掻き傷がひどくてシャンプーができない子は、キャプスターやコンフォティスなど、犬猫の体についているノミを殺す内服薬やフロントラインスプレーなどの使用を考慮します。キャプスターは、今現在寄生しているノミの成虫を駆除するだけで、予防はしません。コンフォティス、ネクスガード(犬のみ)、ブラベクト(犬のみ)、フロントラインスプレーは、現在寄生しているノミの成虫を駆除するとともに、成虫の寄生を防ぐ効果が1ヶ月(ブラベクトは3ヶ月)持続します。いずれも殺虫剤ですので、使用説明書の指示を守り、常用ではなく一時的な処置として考えましょう。

2. ノミの嫌がる精油と皮膚バリアを守るオイルで薬浴

​シャンプーが終わったらよく洗い流し、薬浴またはリンスを行います。

ノミの成虫駆除剤や発育阻止剤の投与を行わない場合は、住環境から完全にノミがいなくなるまで、週1回シャンプーと薬浴を繰り返します。シャンプーとシャンプーの間は、石けん水に浸した目の細かいノミとりコーム(櫛)を使い、犬猫の体からノミをできるだけ取り除くようにします。自家製のノミ除けスプレーを使ってもよいでしょう。

3. ノミの発育阻害剤を使用する

  • ノミの幼虫の発育阻害剤を使いましょう。シャンプーで体からノミを取り除いても、家の中にはまだノミやノミの卵・幼虫が残っています。これらが再び犬猫に寄生して、卵を産み、幼虫になるという悪循環を断ち切る必要があります。体の中には吸収されずに(全く吸収されないわけではありませんが)皮膚に広がるスポットオンタイプがよいでしょう。​
  • スポットオン:アドバンテージプラス、フォートレオン(猫には使用不可)、フロントラインなど。
  • 内服薬:プログラムなど。
  • これらのノミ駆除剤(殺虫剤)の使用に抵抗がある、ノミ駆除剤で副作用が出たことがある、小さな子供がいるためスポットオン式のノミ駆除剤を使いたくない場合は、精油を使った薬浴とノミ除けスプレーを定期的に使用します。

4. ノミが媒介する条虫の駆除を行う

条虫は、犬猫のお腹の中に寄生します。動物病院で糞便検査を行い、寄生の有無を確認すると不要な投薬を防ぐことができます。条虫駆除作用があるフィラリアの予防薬を与えている場合は駆虫を行う必要はありません。

  • 駆虫薬:ドロンシット、ドロンタールなど

 

  • 自然療法
  • ドライココナッツ:小型犬・猫(小さじ1)、中型犬(小さじ2)、大型犬(大さじ1)。食事に混ぜて毎日与える。
  • パンプキンシード(かぼちゃの種):食物繊維が豊富で腸の掃除効果があり、レクチンも含まれる。乾燥したものをパウダー状にして小さじ1(小型犬・猫)〜大さじ2(大型犬)程度を与える。

家からノミを除去する

1. 徹底した掃除を行う

ノミの卵やサナギには殺虫剤が効かないため、掃除機で吸い取るしか方法はありません。家中の隙間や家具の後ろ、カーペット、ソファ、ベッドなどをよく掃除しましょう。ノミの寄生がひどい場合は、スチームクリーナーがおすすめです。

2. 犬猫のベッドや毛布を洗濯する

​犬猫と一緒に寝ている場合は自分の布団や枕も洗濯しましょう。柔軟剤にラベンダーやユーカリ(犬のみ)の精油を数滴加えるとよいでしょう。高温乾燥できるものは、乾燥機で温度設定を高温にして乾かすのも効果的です。

3. 庭の掃除を行う

​草は短く刈り、ニームオイルなど環境汚染の心配のない成分を使った園芸用の虫除け剤を噴霧します(植物によっては枯れてしまう場合があるので注意)。虫除け剤を噴霧した後は、犬猫が近づかないようにしてください。

ノミの予防

ノミの活動が活発になる前の初春から毎年予防を開始します。特に公園や草むらによく散歩に行く場合、他の犬猫と触れ合う機会が多い場合は、しっかりとした予防が必要になります。地域や室内の暖房状況によっては、冬でも予防が必要になる場合があります。

1. ノミの嫌がる精油と皮膚バリアを守るオイルで薬浴:月1〜2回

2. 家の掃除はこまめに。犬猫のベッドや毛布は週1〜2回洗濯する。

3. 犬猫が外に行く前にノミ除けスプレーを行い、外から家へノミを持ち込まないようにする。

アレルギー症状の治療

ノミを寄せ付けない健康な体を作る

バランスのとれた手作り食への切り替えが理想的です。手作り食が無理な場合は、防腐剤などの添加物が含まれておらず、成分の品質が高く、過度な加工がされていない製品を選びましょう。

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ペットフードガイド

アレルギー症状の自然療法

食物アレルギー・環境アレルギーと同じ自然療法を行うことで、アレルギーの症状を緩和し、アレルギーになりにくい体を作ることができます。

1. 食事療法・サプリメント

症状別の薬膳メニュー

症状チェッカー
当てはまるものが多いのはどれ?

乾燥症状
  • 皮膚が乾燥・カサカサ
  • 被毛がパサつく
  • 粉のようなフケ
  • 若白髪が多い
  • 脱毛
  • ウンチが硬く水分が少ない
  • 舌が乾いている
湿潤症状
  • 病変部がジュクジュク
  • 皮膚が脂っぽい
  • 耳や皮膚が臭い
  • 唾液が多い
  • 大きめのフケ
  • ウンチがゆるい
  • ウンチに粘液が付いていることがある
  • 吐いたものが粘っこい
  • いびきをかく
  • 肛門線が詰まりやすい
寒症状
  • 寒がり
  • 日の当たる場所を好む
  • 寒い日に元気がなくなる・症状が重くなる
  • 病変部や手足の先が冷たい
  • 怖がり
熱症状
  • 暑がり
  • 涼しいところを好む
  • パンティング
  • 病変部が赤く熱をもっている
  • 暑い日に元気がなくなる・症状が重くなる
  • 短気・攻撃的・不安症
  • 夢をよく見る

症状に合わせて食材を選ぶ

乾燥症状が多い 湿潤症状が多い
寒症状が多い
  • タンパク質食品:ラム肉、ヤギ肉、ベニソン、カンガルー、鶏肉、レバー、サーモン、あじ、まぐろ、ぶり、いか、たこ、ほたて
  • 炭水化物食品:キノア 、米、オーツ麦、さつまいも、かぼちゃ
  • 野菜・果物:ほうれん草、クレソンなどの緑色葉物野菜、アルファルファ、アーティチョーク、ズッキーニ、アスパラガス、しいたけ、りんご、あんず、アボカド、いちじく
  • タンパク質食品:鶏肉、七面鳥、ラム肉、ヤギ肉、ベニソン、カンガルー、サーモン、あじ、たら、ます、うなぎ
  • 炭水化物食品:キノア、バスマティライス(インディカ米)、かぼちゃ、とうもろこし、里芋
  • 野菜・果物:うど、ブロッコリー、きのこ、アルファルファ、春菊、ラディッシュ、パパイヤ

精製された炭水化物、でんぷん質の多い野菜はなるべく少なくする。

熱症状が多い
  • タンパク質食品:豚肉、鴨肉、牛肉、レバー、いか、たこ、ほたて、牡蠣
  • 炭水化物食品:大麦、そば、あわ、じゃがいも
  • 野菜・果物:トマト、ほうれん草、アスパラガス、セロリ、大根、レタス、白菜、もやし、ズッキーニ、クレソンなどの緑色葉物野菜、アルファルファ、アーティチョーク、しいたけ、かぶ、れんこん、りんご、あんず、アボカド、いちじく、ブルーベリー、マンゴー、メロン、いちご、すいか、梨
  • タンパク質食品:七面鳥、馬肉、鶏肉、すずき、かつお、さば、いわし、あさり、はまぐり、かに
  • 炭水化物食品:大麦 、玄米、あわ
  • 野菜・果物:セロリ、白菜、春菊、チンゲン菜 、小松菜、とうがん、大根、ごぼう、きゅうり、ラディッシュ、舞茸、なす、もやし、かぶ、たけのこ、レタス、すいか、ブルーベリー、クランベリー、りんごの皮

豚肉など脂の多い肉、乳製品は避ける。精製された炭水化物やでんぷん質の多い野菜はなるべく少なくする。

どのタイプでも使用できる食材
  • タンパク質食品:卵、鶏肉、鴨肉、サーモン、いわし・あじ・さんまなどの抗炎症効果が高い青魚
  • 炭水化物食品:キノア、大麦、米
  • 野菜:ブロッコリー、にんじん、カリフラワー、キャベツ、ピーマン、パプリカ(赤・黄ピーマン)、しいたけ

サプリメント・ハーブ

必ず与える
  • 特に亜鉛セレンビタミンAビタミンDが足りているかチェック。
  • オメガ3脂肪酸:体重 5 kgあたりDHA + EPA として100〜150 mg。魚アレルギーの場合はフィッシュオイルは使用しない。
  • オメガ6脂肪酸
  • ビタミンE必要量より多めに
その他
  • アレルギーを抑制することが報告されている食材・サプリ
  • ケルセチンなどのフラボノイド:アレルギーによる炎症を抑える。パセリ、りんご、セージ、ブルーベリー、ビルベリーなどの野菜、果実に含まれる。
  • 鶏卵:卵アレルギーの場合は与えないこと。
  • 免疫を調整する作用があるサプリ
  • コロストラム(牛の初乳・免疫ミルク):牛乳アレルギーの場合は与えないこと。使用説明書に従って与える。
  • キノコエキス:免疫を調整。マイタケ、しいたけ、霊芝、コルディセプスなどを含むもの。使用説明書に従って与える。
  • ネトル(アルコール抽出物・体重 5 kgあたり0.2〜0.5 mL・1日3〜4回)
  • かゆみを抑制
  • 免疫系を調整:マクロファージを活性化することにより、アレルギー原因物質の体内からの除去に役立つ
  • 熱症状(上記を参照)がある場合に特に効果がある
  • 副作用:くしゃみ、流涙がみられることがある。他のハーブや漢方と併用する場合は、専門家に確認を行う。妊娠中、非ステロイド系消炎剤(NSAID)使用中には使わない。
  • 乾燥ハーブよりエキスの方が効果が高い。

2. 腸を修復

ノミアレルギーは皮膚に症状が現れることが多いため、「腸の修復」といわれてもピンとこない方が多いかもしれません。

しかし、腸は食べ物の消化や吸収・排泄を行なっているだけではなく、全身の免疫系の70〜80%を担っています。アレルギーを起こしている子、アレルギーを起こしやすい子のほとんどは、腸管の免疫系のバランスが崩れています。そのため、アレルギーの症状を効果的に抑えるには腸の健康を取り戻すことが重要なポイントになります。

アレルギーのもう一つの考え方

   アレルギー閾値説と加算効果

アレルギーの治療でもう一つ重要なコンセプトに「アレルギー閾値」というものがあります。閾値(限界)を上回る量のアレルギー原因物質(アレルゲン)が体内に入ってくると、アレルギー症状が始まるという考え方です。例えば、上の図で、食物アレルゲンを、ノミの唾液をとすると、少量のまたはが単独で体の中に入ってきても、アレルギー症状は起こりません。しかし、が同時に存在する場合、少しずつしかなくても双方の量を合わせると閾値を超えてしまうため(加算効果)、症状が出るようになります。

そのため、(1)ノミ以外のアレルゲンの量もなるべく少なくすること(2)サプリメントや食事療法などの治療で閾値を上げて症状を出にくくすることの2つがアレルギー治療の目標となります。腸を修復して、全身の免疫系のバランスを整えることはこのいずれにも役立ちます。

腸の修復方法

1. アレルギーの原因と炎症を起こしやすい物質を取り除く

  • アレルギーの原因がわかっていれば、それを取り除く。
  • 犬猫でアレルギーを起こしやすい乳製品と牛肉は与えない。
  • 猫の場合は、炭水化物食品の摂取を一切やめること。
  • 犬の場合は、米などの穀類をジャガイモ、カボチャ、サツマイモに切り替える。
  • ペットフードを与えている場合は、手作りに切り替える。食事を作る時間がなければ、添加物、防腐剤、グルテンを含む材料を含まないペットフードに切り替える。
  • 浄水器で濾過した水を与える。
  • アレルギーの治療中はワクチンの接種を控える。
  • 抗生物質やステロイド等の薬剤の使用をできるだけ避ける。
  • ペットホテル宿泊などのストレスを避ける。
  • 過度な運動は行わない。

2. 腸を休ませる

  • 週1回、夜ご飯を与えない日を作る(朝に1日分の食事を与えたら次の日の朝まで水かボーンスープ以外は何も与えないようにし、腸が完全に空になる時間を作る)。

3. 腸の回復を促すサプリメントを与える

  • ​スリッパリーエルム:消化管の炎症を抑えて修復。便秘になる場合がある(その場合は量を減らす)。20〜40 mg/kg・1日3回
  • リコリス(甘草):消化管粘膜の再生を促進。長期使用はしない。唾液分泌が多い、太りやすい体質の犬猫には使用しない。
  • 乾燥ハーブ:30〜100 mg/kgから・1日2回
  • チンキ剤:1〜3滴/kgから・1日3回
  • 乾燥濃縮エキス:20 mg/kgから・1日2回

3. 漢方薬

症状が重く、食事やサプリメントの効果を待っていられない場合には、漢方薬の併用が効果的です。

食物アレルギーでも環境アレルギーでも同じ漢方薬が使用できます。症状に合わせて漢方薬を選びます。

症状チェッカー
当てはまるものが多いのはどれ?

乾燥症状
  • 皮膚が乾燥・カサカサ
  • 被毛がパサつく
  • 粉のようなフケ
  • 若白髪が多い
  • 脱毛
  • ウンチが硬く水分が少ない
  • 舌が乾いている
湿潤症状
  • 病変部がジュクジュク
  • 皮膚が脂っぽい
  • 耳や皮膚が臭い
  • 唾液が多い
  • 大きめのフケ
  • ウンチがゆるい
  • ウンチに粘液が付いていることがある
  • 吐いたものが粘っこい
  • いびきをかく
  • 肛門線が詰まりやすい
寒症状
  • 寒がり
  • 日の当たる場所を好む
  • 寒い日に元気がなくなる・症状が重くなる
  • 病変部や手足の先が冷たい
  • 怖がり
熱症状
  • 暑がり
  • 涼しいところを好む
  • パンティング
  • 病変部が赤く熱をもっている
  • 暑い日に元気がなくなる・症状が重くなる
  • 短気・攻撃的・不安症
  • 夢をよく見る

症状に合わせて漢方を選ぶ

乾燥症状が多い 湿潤症状が多い
寒症状が多い
  • 四物消風飲
  • 一貫煎
  • 補肝湯
  • 胃苓湯
  • 除湿胃苓湯(寒症状から熱症状への移行期に)
  • 補中益気湯(消化器の弱りに起因する場合)
熱症状が多い
  • 四物消風飲
  • 普済消毒飲
  • 五味消毒飲
  • 当帰飲子
  • 知柏地黄丸(高齢犬の乾燥とかゆみに)
  • 仙方活命飲
  • 三仁湯
  • 四妙散
  • 龍胆二妙散(妊娠中・元気のない動物には使用しない)
早期または限定的に現れる症状に
  • 突然始まった早期のかゆみに:消風散
  • アレルギー性結膜炎に:玉屏風散
重度または長期化した強いかゆみと熱症状に
  • 清営湯
  • 黄連解毒湯(重度の細菌感染が認められる場合。軽度の皮膚症状や元気のない動物には使用しない。)
ステロイド・抗生物質の副作用に
  • 四妙散(ステロイドにより湿潤症状が悪化した場合)
  • 人参養栄湯(ステロイドの長期使用による疲弊・冷え・消化機能の弱りに)
  • 除湿胃苓湯、四妙散、三仁湯または逍遙散?(抗生物質の長期使用による消化器症状に)

与え方

  • 体重1kg あたり60〜75 mg(添加物を含まない有効成分量として)を1日2回に分けて与える。
  • 1〜2週間与えてみて効果がなければ量を増やす。
  • 食事アレルギーの場合は、添加物の確認も必ず行うこと。
漢方薬を使用する際の一般的な注意事項

4. ステロイドや抗生物質は使うべき?

ステロイドや抗生物質を使うべきとき
  • かゆみが激しく、かきむしってしまう・一晩中眠れない
  • 重度の二次感染が見られる
  • 犬猫が明らかに苦痛を感じている

ステロイドは免疫機能を抑制することでアレルギー反応を抑制します。グルココルチコイド、コルチコステロイド、プレドニゾロン、消炎剤などとも呼ばれます。また、免疫を抑制する薬として、他にシクロスポリン(アトピカ)などもアレルギーの治療に使用されます。

初めて使用する際は、まるで奇跡のように劇的な効果が見られるため、獣医師も飼い主も安易に使用しがちです。しかしこれらの薬剤は免疫系を抑制することで目に見える部分の症状を抑えているだけであって、アレルギーの原因を取り除いたり、アレルギーによって起こる体内のダメージを修復しているわけではありません。使用をやめれば症状は再発します。そのため、何度も繰り返し使用したり、長期の間使用することになります。

免疫抑制剤の副作用

抗生物質は、細菌や真菌による感染を予防または治療するために処方されます。量が足りなかったり、期間が短かったりすると、完全な効果が得られないため、獣医師に指示された通りの量と投与期間を守りましょう。副作用は、乳酸菌など腸の善玉菌も殺してしまうこと、長期の使用により耐性菌が生じ効果が得られなくなることです。そのため、抗生物質の使用後にはプロバイオティクスを投与すること、長期投与が必要な場合には、種類を切り替えながら耐性菌の発生を防ぐことが重要です。

免疫抑制剤と抗生物質の効果的な使い方は、症状を一時的に抑え、その間にアレルギーの原因を取り除き、食事療法やサプリメントなどを使用して、アレルギーに対する抵抗性を高めることです。そうすることで、これらの薬剤の量を徐々に減らし、いずれは投与しなくても再発しなくなります。

もし、かかりつけの獣医師がそういった指導をせずに、症状が再発したり悪化するたびにこれらの薬剤の使用を繰り返すようなら、別の動物病院に相談しましょう。

ステロイド・抗生物質の副作用に使用される漢方薬
  • 四妙散(ステロイドにより湿潤症状が悪化した場合)
  • 人参養栄湯(ステロイドの長期使用による疲弊・冷え・消化機能の弱りに)
  • 除湿胃苓湯、四妙散、三仁湯または逍遙散?(抗生物質の長期使用による消化器症状に)

5. そのほかの療法

免疫療法

免疫療法は、アレルギー治療の最終段階です。原因物質に少しずつ接触させることで、その物質に耐えられるよう体を慣らしていきます。原因物質を完全に避けることが難しい環境アレルギーの治療によく使用されています。アレルギー症状を起こす危険性がありますから、経験のある獣医師の指導のもとで行う必要があります。

この方法を成功させるには、腸を修復し、全身の免疫を正常化させておくことが大前提です。

抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬は、ステロイドやシクロスポリンよりも副作用が少なく、軽度〜中程度のアレルギー症状に効果があります。ステロイドや抗生物質と併用されることもあります。特に猫は抗ヒスタミン薬に良好な反応を示します。ただし、ステロイドと同様に、目に見える症状を抑えるだけで、アレルギーの原因やアレルギーによって起こる体内のダメージを治療するものではないため、服用をやめると再発します。抗ヒスタミン薬を一時的に投与して症状を抑えている間に、食事や体質の改善を行いましょう。

アポキル

アポキル(オクラシチニブ)は犬のかゆみの抑制を目的に開発された新しい薬です。JAK1・JAK3という炎症の発生に関わる酵素を阻害します。こちらもステロイド、シクロスポリン、抗ヒスタミン薬と同様に、症状を抑えるだけで、アレルギー自体を治療しているわけではありません。また、JAK1やJAK3は、体内の異常細胞(腫瘍細胞など)の除去、感染の抑制など、生命に関わる重要な働きをしている分子であり、アポキルはこれらの機能も阻害します。

鍼灸治療

それぞれの犬猫の病態や体質に合わせた補助的な治療として使われています。自宅でツボ治療を試してみたい方は、かゆみに効果のあるツボを参考にしてみてください。

ノミ予防にニンニクを?

実際に効果は証明されていませんが、ニンニクを毎日の食事に混ぜることでノミやダニが防げるという飼い主さんや自然派獣医師の報告が多く寄せられています。ニンニクの臭み成分が被毛の根本にある皮脂腺にたまり、忌避効果を示すようです。また、ニンニクには免疫力を上げる作用もあります。ただし、大量に与えすぎると、貧血や皮膚炎などを起こすことがあるので推奨量を守って与えましょう

  • 猫・小型犬:1日1/8片
  • 中型犬:1日1/4片
  • ​大型犬:1日1/2片

人の栄養学の報告によると、新鮮なニンニクを切ってから10〜15分ほど置いておくと、効果がもっとも高くなるとのことです。

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