獣医師による手作り食・自然療法ガイド

肝レスキュー食

 犬と猫の薬膳ごはん 

肝臓の負担をなるべく少なくし、肝臓の修復と再生をサポートするレシピです。肝臓が弱っている時は、加熱調理食を1日3〜6回に分けて少しずつ与えるようにしましょう。

  • 肝臓または胆嚢の病気と診断されたばかりで症状がある子に
  • シンプルな材料で肝臓の負担を軽減
  • 肝臓で処理されるヘムや芳香族アミノ酸が少ない白身魚を使用
  • タンパク質がエネルギーではなく肝臓の再生に使われるよう炭水化物でカロリーを補給

 時間:30分   犬レシピ |  猫レシピ |  作り置き |  グルテンフリー |  レクチンフリー | 肝療法食

適していません
  • 軽度の肝酵素の上昇(食事療法は必要なし)
  • 食欲廃絶状態の猫(無理に食事させずチューブフィーディングを)

材料

A

白身魚 100 g
さつまいも 犬200 g・猫100 g
しょうが 1 かけ(なくてもよい)
粉末昆布だし 1 g
塩(岩塩) 耳かき1杯〜1つまみ
適宜

B

注意
腹水が溜まっている場合は塩は不要

サプリメント

作り方

  1. さつまいもを洗い、皮ごと一口大に切る。消化力が弱っている場合は、皮はのぞいてもよい。
  2. 鍋にさつまいも、しょうが、だし、水を入れて強火にかけ、煮立ったら弱火にして柔らかくなるまで煮る。
  3. 白身魚は一口大に切り、ゆでるか蒸す。
  4. 猫の場合は同量ずつ、犬の場合は2:1でさつまいもと白身魚を混ぜる。
  5. 体温程度まで冷めたら、サプリメントを混ぜて与える(量は下の表を参照)。
  6. 残りは冷蔵保存しておき、さつまいもを鍋で温め直して白身魚と混ぜ、温度を調節する。
  7. 食欲が回復してきたらBを足し、増やしていく。レバーは体重1 kg あたり1日 1〜3 gが目安。野菜類は、猫では食事全体の1〜2割、犬は好きなだけ。

与える量(1日分)

3〜6回に分けて与えると肝臓の負担を軽くし、消化器症状を起こしにくくなります。

タラを使った場合の栄養:カロリー 360 kcal・タンパク質 20 g(レシピ分量あたり)

体重 5 kg 10 kg 15 kg 20 kg 25 kg 30 kg
レシピ分量 そのまま 2倍 2.5倍 3倍 3.5倍 4倍
カルシウム 380〜450 mg 700〜900 mg 900〜1200 mg 1100〜1300 mg 1200〜1600 mg 1400〜1800 mg
DHA+EPA 150 mg 300 mg 450 mg 600 mg 750 mg 900 mg

タラを使った場合の栄養:カロリー 220 kcal・タンパク質 20 g(レシピ分量あたり)

体重 3 kg 4 kg 5 kg 6 kg 7 kg 8 kg
レシピ分量 そのまま そのまま 1.2倍 1.5倍 1.7倍 1.8倍
カルシウム 300 mg 300 mg 350 mg 400 mg 500 mg 550 mg
DHA+EPA 100〜150 mg
タウリン
アルギニン
各200〜500 mg
MEMO
  • 痩せてしまった場合は、現在の体重ではなく理想体重で分量を決めましょう。
  • 体重がこの表の範囲外の場合、子犬・子猫の場合は、栄養計算機で必要なカロリーとサプリメントの量を確認しましょう。
  • オメガ3脂肪酸DHAEPA)はDHAEPAの合計量で記載しています。オメガ3脂肪酸の合計量や魚油・クリルオイルなどのサプリメントの量ではないので間違えないようにしましょう。お使いの製品のラベルを確認してください。
  • プロバイオティクス乳酸菌製剤)は製品の使用説明書にしたがって与えてください。
  • さつまいも ➜ じゃがいも、里芋、山芋、かぼちゃ、炊いた白米・玄米、ソルガムパスタなど
  • 白身魚 ➜ タラ、鯛類、スズキ、サヨリ、イサキ、カサゴ、キス、ムツなど。基本的に色が白いほどヘムが少ない。
  • 肝臓によい緑黄色野菜 ➜ ケール、小松菜、パセリ、菜の花、アーティチョーク、アスパラガス、西洋タンポポ(サラダ用のタンポポの葉)、ブロッコリー、キャベツ、セロリ、レタス、クレソン、ビーツ、にんじんなど。
  • 症状が落ち着くまでは生食と赤肉は控えましょう。
  • 落ち着いてきたら、魚の割合を増やしていくことができます。その後、カッテージチーズ、卵、鶏肉、鮭などを足してタンパク質量を少しずつ増やしていきましょう。
  • このレシピは半年まで継続することができます。長期になる場合は、脂肪酸やビタミン、ミネラルが不足するので通常の維持量のサプリメントを足すようにしましょう(→ こちらから確認)。
  • 昆布だしは、淡白な魚と芋に風味をつけるとともに、ヨウ素源にもなります。普段使っているヨウ素サプリや海藻でもOK。
  • 飽きないようにキノコパウダーやハーブミックス、粉チーズ、酵母フレーク、犬猫用ふりかけなどを交代でふりかけても。
  • 肝臓をサポートするサプリメントやハーブも活用しましょう。
肝臓の健康を守るハーブとサプリメント
肝臓と胆嚢の疾患