獣医師による手作り食・自然療法ガイド

赤血球数 (RBC)

せっけっきゅうすう・RBC

一般血液検査項目の一つ。血液の赤い色を作る赤血球は、呼吸によって肺から入ってきた酸素を全身に行き渡らせ、代わりに二酸化炭素を回収して肺に戻すという役割を持っています。この検査では、その赤血球細胞が一定量の血液の中に何個含まれるかがわかります。ごく一部の例外をのぞき、ヘマトクリットPCV(血液中の赤血球の割合)と一緒に上下します。

 

わかること

貧血・出血の有無

 

異常があった場合は、ヘモグロビン濃度、MCV、MCHCなどと合わせて判定を行い、必要に応じて血液塗抹検査などの他の検査を行います。

手作り食との関係

肉中心の手作り食を食べている犬猫では、赤血球数・ヘマトクリットPCVが高くなる傾向にあります。手作り食、特にローフードではタンパク質やヘムといった赤血球の材料や造血因子を壊さずに補うことができるためです。赤血球数の上昇は好ましい変化であり、ほとんどは正常範囲内の変化であるためあまり気づかれることはありません。

赤血球の寿命は犬で100〜120日、猫で70〜90日。赤血球数を一定に保つために毎日数%が新しい赤血球と入れ替わっています。

基準値
  •  500〜800 万個/µL
  •  500〜1000 万個/µL

基準値は検査機器や地域によって異なることがあるため、検査を行った病院の数値を参考にしましょう。

基準値より高くなるのはどんなとき?

基準範囲内で高め〜基準範囲よりやや高め

  • 肉中心の手作り食を食べている犬猫
  • 特定の品種(ダックスフンド、グレイハウンド、短頭種)
  • 高山地帯に住む犬猫
  • 脱水(嘔吐、下痢、熱射病など。総蛋白も上昇する)
  • 採血時に暴れた(総蛋白は正常)
  • 高用量のステロイドの長期投与

基準範囲を若干〜大きく上回る

  • 原発性真性赤血球増加症(多血症)

骨髄における赤血球産生の異常増加またはエリスロポエチン受容体異常。エリスロポエチン濃度は正常または低下。

  • 二次性真性赤血球増加症(多血症)

エリスロポエチンの増加に起因。心奇形、肺疾患、ヘモグロビン症、短頭種、高地に住む犬猫、鼻内腫瘍などでは、低酸素血症のためエリスロポエチンの産生が刺激されます。この場合は動脈血酸素分圧が低下。腎腫瘍、水腎症などの腎疾患、腫瘍随伴症候群、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能亢進症によっても生じることがありますが、この場合は動脈血酸素分圧は正常です。

基準値より低くなるのはどんなとき?

  • 出血・出血性疾患
  • 貧血(再生性・溶血性・非再生性):栄養不良、腎不全、感染症、中毒(タマネギなど)、自己免疫性疾患、内分泌系疾患、消耗性疾患、骨髄毒性のある薬物など原因は多岐にわたる。他の検査結果と合わせて鑑別を行う。
  • 加齢により減少する傾向がある