獣医師による手作り食・自然療法ガイド

鉢植えで育てる家庭常備薬(1)

今年の春は小さな鉢で手軽にハーブ栽培を始めてみませんか?

愛犬や愛猫の健康に役立つハーブは身近なところにもたくさんあります。忙しい方でもモノグサさんでも室内で手軽に育てることができ、犬猫の健康管理にぜひ加えてほしいハーブを厳選してご紹介します。

パセリ

パセリには、口臭予防や整腸作用、利尿作用、抗糖尿病効果など嬉しい効果がいっぱい。

関節炎にもよく使用されますが、これはパセリに含まれる葉緑素やビタミンCなどのもつ抗酸化効果だけでなく、利尿を促すことで関節にたまりやすい炎症物質や老廃物の排泄を促すためと考えられています。

種を植えてから早ければ数週間で収穫できるようになります。1株あたり8〜10枚の葉を残すようにし、花茎が出てきたら早めに摘むと1年くらい楽しむことができます。

細かく刻んだものを食事に混ぜて与えるのが一番簡単ですが、器用にパセリだけ残すコが多いので水少々を加えてピューレにするのもおすすめです。ピューレにしたあとは冷蔵で2〜3日保存可能。

薬膳効果

生化学作用
  • 利尿・整腸(電解質バランスを整える)
  • 抗腫瘍(血管新生を抑制)
  • 抗菌・消臭
  • 血糖値を下げる
  • 抗酸化

ローズマリー

大きくなるまでに時間がかかるため1年目は少ししか収穫できませんが、2年目以降は植え替えと挿し木だけでぐんぐん育ち、何年も収穫することができます。

抗菌作用があるため、防腐剤の代用としてペットフードによく使用されています。最近の報告では犬のがん細胞の増殖を抑える作用が確認されています。細かく刻んで毎日のご飯にふりかけてあげるといいでしょう。ノミ除けの薬用リンスとしても使うことができます。

人用としても料理やハーブティー、芳香剤、入浴剤として大活躍。清涼感のある独特の香りが鶏肉やラム肉などの肉料理にとてもよく合います。

ローズマリーの精油は一部の犬猫で神経症状を起こすことが知られているため、てんかんなどの神経疾患がある場合に注意が必要ですが、抽出や濃縮が行われていないローズマリーの葉は安心して使うことができます。

薬膳効果
  • 体と腎臓を温める
  • 気の巡りをよくする
  • 消化を助ける

生化学作用
  • 抗腫瘍(増殖抑制)
  • 抗菌
  • 抗酸化

シソ

お刺身、サラダ、ドレッシングと1鉢あると何かと重宝するシソの葉。

意外にも犬や猫にも人気で、そのままムシャムシャと食べるコもよくいます。

嘔吐抑制・解毒効果があるので、散歩の途中に拾い食いしてしまった時やなんとなく気持ち悪そうにしているときに与えるとよいでしょう。食欲も増進してくれます。

4月中旬〜下旬に種をまくと、ちょうど湿度が高くなってくる6月くらいから収穫できるように。体の水はけをよくする作用があるので、湿気の高い日に調子が悪くなる子には梅雨の時期を通して毎日のごはんに加えてあげてください。

秋までしか収穫できませんが、花が咲いたあと種を取っておくと翌々年にまくことができます。育て方にコツがあるのでネットで検索してみてくださいね。

薬膳効果
  • 水はけの良い体を作る
  • 冷えを飛ばす
  • 気の巡りをよくし食欲不振や嘔吐を押さえる
  • 解毒作用

生化学作用
  • 抗菌作用(シソアルデヒド)
  • 抗酸化(アントシアニン・カロテン)
  • 発汗・解熱
  • 胃酸分泌を促す

ペパーミント

西洋でも東洋でも昔から重宝されてきたミント。とても丈夫でもりもりと育つので、初心者でも簡単に栽培することができます。

人では整腸、皮膚のかゆみの緩和、風邪のひきはじめの熱、頭痛、鼻づまり、喉の痛み、目の充血などによく使用されます。夏場に増え過ぎてしまったらアイスミントティーがおすすめ。体をクールダウンして頭の中までスッキリさせてくれます。

犬には嘔吐や食欲不振の緩和、乗り物酔いの予防、不安症の緩和に使うことができます。常用すると疲れやすくなるので気をつけましょう。皮膚を痒がっている場合は、濃いめに作ったミントティーに浸したコットンをあてます。

ペパーミントの精油は猫で中毒を起こすことがありますが、生のハーブは安全です。ただし、大量摂取やまれに少量の摂取で嘔吐などの中毒症状を起こすことも報告されています。猫が届かないところで栽培するようにしましょう。

薬膳効果
  • 熱を冷ます
  • 肝臓の気の滞りを解消
  • 目の充血・イライラ・発疹など頭部〜上半身の”熱”症状を緩和
  • 不適切な食事によって溜まった”湿熱”による嘔吐などの症状を緩和

生化学作用
  • 解熱・発汗
  • 鎮静・リフレッシュ効
  • 抗菌
  • 抗炎症
  • 胆汁分泌促進

  1. 底に穴があいたプランターや植木鉢を使う。穴が大きい場合は小石やネットを敷く。土を8〜9分目まで入れて、十分に水で濡らしておく。
  2. 種をまく。一晩吸水させておくと発芽しやすいものもある(間隔や前処理については種の袋をチェック)。
  3. 薄く土をかぶせて上からそっと押さえる。種が流れ出ないよう注意しながら水をたっぷり与える。
  4. 日向〜半日陰に置き、発芽までは土が乾かないよう毎日水を与える。早ければ数日、遅ければ1〜2週間ほどで発芽。
  5. 発芽したら間隔がちょうどよくなるよう間引く。
  6. 葉が5〜6対になるまで育ったら下の2対を残して上の茎を収穫。これを繰り返すとだんだんと茎数が増えていく。花穂は葉の育ちを悪くするので基本的に摘み取る。

  1. 葉をそのまま使う:みじん切りにして体重 5 kg あたり小さじ 1/2〜1 を目安に。
  2. ピューレ:猫ちゃんは食物繊維の消化が苦手なので、上記の量を水や他の食べ物と一緒にピューレにして与えてもよい。
  3. ハーブティー:熱湯 1 カップあたり 5〜30 g を加えて 8〜10 分置く。冷めたら体重 5  kg あたり1/8カップ〜1/4カップを目安に 1 日数回に分けて与える。飲み水に加えてもよい。外用の場合は、コットンを浸す。
ハーブ 使う部位 薬膳効果
西洋タンポポ 葉・根 利尿・熱を冷ます・血を補う
セージ 口内炎の改善・認知力改善
バジル 体と腎臓を温める
コリアンダー 体を温める・胃腸の働きをスムーズにする
水菜 滞りを解消・デトックス・体を冷やす
ほうれん草 血とエネルギーを補う
スプラウト 葉・茎 体を潤して水分循環を助ける(アルファルファ)
カモミール 鎮静・整腸(ハーブティーとして)・創傷治癒(外用)
  • Chen & Chen. Chinese Medical Herbology and Pharmacology. Art of Medicine Press. 2004.
  • Wynn & Fougère. Veterinary Herbal Medicine. Mosby 2006.
犬猫に毒性を示す植物 精油に関する注意事項