獣医師による手作り食・自然療法ガイド

うちの子の年齢期は?

言葉をしゃべれない犬と猫の健康状態を知るには、定期検診が欠かせません。

毛づや、体重、筋肉の発達具合、歯と歯茎の健康、皮膚や耳、目、関節の状態、心肺機能、腸の動き、リンパ節の大きさ、肛門嚢の詰まりなどの一般状態のチェックはもちろんのこと、尿検査や血液検査を行うことで症状が現れる前に病気をキャッチすることができます。ライフステージに合わせた健康診断を受けましょう。

ホリスティック系の獣医師であれば、食事診断、脈診、舌診、経穴診、体質診断(陰陽、虚実、分泌物や眠りの質など)、ストレス度や生活習慣のチェックによって、検査に現れない「未病」の段階から病気を予防するためのアドバイスをもらうことができます。

犬猫のライフステージと健康診断の頻度

私たちは、こちらの年齢表を目安にしています。

若齢期(ヤング)

元気いっぱいの時期ですが、子犬・子猫に特有の病気や先天性疾患、虚弱体質などが明らかになる時期にもあたります。食事やブラッシング、歯ブラシ、運動、ストレス対策など、一生の健康を左右する大切な健康管理の基本を品種に合わせて教えてもらいましょう。

おすすめ
一般身体検査、血液検査(一般項目・フィラリア検査)を年1回。尿比重検査を年2回。必要に応じて糞便検査。

若齢成/中齢期(アダルト)

子犬・子猫期の陽の気(盛んな代謝活動)が落ち着き、本来の性質が見えてきます。体質と食事、生活習慣が合っていなくても若さで乗り切ることができますが、限界を超えると行動問題や病気になって現れます。

おすすめ
一般身体検査、血液検査(一般項目・フィラリア検査)を年1回。尿検査(全項目)を年2回。必要に応じて糞便検査。

高齢期(シニア)

見た目はまだまだ若く、運動能力も衰えていませんが、体の中ではすでに老化が始まっています。

おすすめ
一般身体検査、尿検査(全項目)を年2回。血液検査(一般項目 、フィラリア検査、内分泌系スクリーニング)を年1〜2回。ペットフードを食べている場合はすべて年2回。必要に応じて糞便検査と超音波検査。

超高齢期(スーパーシニア)

陰の気(代謝活性の低下)が徐々に強くなり、不調が現れやすい時期。定期検診の頻度を増やして、異常がないかこまめにチェックしましょう。

おすすめ
一般身体検査、血液検査(一般項目 + 内分泌系スクリーニング)、尿検査(全項目)を年2〜3回。できれば超音波検査も含めて。必要に応じて糞便検査。フィラリア検査は年1回。

重要!
犬種・猫種に合わせて頻度と項目をカスタマイズすることも忘れずに。

NEW! 犬の年齢を人の年齢に換算

今まで、犬の年齢を人の年齢に換算する時は、「犬の1年=人の7年」とするか、上の表のように、臨床経験に基いて犬の大きさによって分類する方法が使われてきました。

近年になり、エピジェネティクス(遺伝子修飾)という分野の研究が進み、新たな計算式が開発されました(Wang et al. 2019; 2020)。年齢が進むとDNAのメチル化も進むという事実に基づいています。そして、ラブラドール・レトリーバー104頭の遺伝子データを人間の遺伝子データと比較して得られた計算式は・・・

16 × ln(犬の年齢)+ 31 = 人の年齢

この計算式で愛犬の人年齢を計算してみよう!

いかがでしたか?

平均寿命が12〜13年の大型犬の場合、新計算式でかなり現実に近い結果が得られるようになりました。一方、若齢犬と小型犬ではかなり年齢が上乗せされる傾向があります。例えば、3歳と入力すると、人間年齢ではすでに48.6歳!寿命が10年未満の犬種ならあり得ますが、15年以上生きる小型犬は、まだまだ若い盛りです。

大型犬のデータをもとにしていることと、犬では人間と比べるとメチル化の進行が若いうちに急速に進み、その後ゆるやかになるためです。現在、全犬種を含めた研究も進行中だそうです。