獣医師による手作り食・自然療法ガイド

膵炎

膵臓は食物の分解に必要な消化酵素を作って分泌する外分泌機能と、血糖値を調節するインスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌する内分泌機能の両方を持つ臓器です。

漢方医学には膵臓という臓器はなく、膵臓を含む消化器全体を合わせて「胃脾」と呼びます。

膵炎は何らかの理由により膵臓が炎症を起こした状態。炎症によって膵臓の組織がダメージを受けるため、膵臓で作られる消化酵素が漏出して膵臓自身を消化するようになり、それがまた炎症を起こして組織破壊と炎症のサイクルが延々と続いていきます。

突然発症する急性膵炎と炎症が少しずつ進行していく慢性膵炎があります。犬では区別がつきやすいのですが、猫では急性膵炎が認識されることはあまりなく、異常に気づいたときには慢性化していることがほとんどです。

膵炎はペットフードを食べている犬猫に圧倒的に多く、人の食事の残りものの脂身の多い肉や半分腐った食物の盗み食いが原因の一つと考えられてきました(特に犬の急性膵炎)。実際には、脂の多い食事や腐った食べ物は単なる引き金であり、多くの症例では、糖質や穀類の多い食事に起因するインスリン抵抗性自己免疫性反応(または自己免疫類似反応)が先に存在し、膵炎を起こしやすい状況を作っています。

したがって、急性であっても慢性であっても、引き金の除去と対症療法だけでなく、根底にあるこれらの異常の是正を一緒に行うことが悪化や再発の防止につながります。

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本ガイドに掲載している情報は、臨床経験と以下の文献に基づいて書かれています。

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