獣医師によるペットの自然食・自然療法ガイド

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あなたの犬猫は夢を見ますか?それは病気のサインかもしれません

2016/11/01

あなたの犬猫は夢を見ますか?それは病気のサインかもしれません

睡眠中にまるで何かを追いかけているかのように足を泳がせたり、筋肉をピクピクさせたと思ったら「わふわふ」「にゃにゃにゃにゃ」と鳴きだしたり…

そんなペットの様子を眺めながら「わぁ、かわいい… 夢を見てる!」なんて笑っていませんか?

もし、あなたの犬猫がこんな様子を頻繁に見せるようなら、それは病気のサインかもしれません。

人も犬猫も、血液などの体液の不足 または 体の中に異常に熱がこもった状態になると、寝ている最中に寝言をいったり手足を動かしたりすることが多くなります。

血液が不足すると、体表や手足などの末梢組織の血流がとどこおるため、筋肉のけいれんを起こしやすくなり、一方、体内に溜まった熱は神経系に作用し、夢を見やすい「レム睡眠」に影響を及ぼすためです。

このことは漢方医学では古くから知られており、診断の際の重要な情報として犬や猫が夢を見る頻度を問診の際に必ず聞くようにしています。

どのくらいの頻度が危険?

おおよその目安は次のとおりです。

  • 年に数回~月1回程度:正常範囲内。

 

  • 週1回~月数回程度:早期または軽度の異常。他の症状がないか確認しましょう。この段階であれば食事やブラッシングといった日常管理に気をつけるだけで改善するでしょう。

 

  • 週数回:要注意。病気が現れる直前の状態かもしれません。健康診断で何か異常がないか確認してください。食事だけではなく漢方薬やハーブなどを積極的に利用して、状態を改善しましょう。

 

  • 毎日:すでに病気になっている状態と思われます。すぐに病院で検査してもらってください。

「血液不足」と「熱」どちらが原因?

夢をよく見ることに加えて、次のような症状があるかないかによって区別します。

血虚の症状 熱の症状
皮膚・被毛の乾燥 皮膚・被毛の乾燥
フケ・抜け毛・白髪 暑がる・水をよく飲む
足先が冷たい 呼吸や脈が早い
筋肉のけいれん 便秘・排尿困難
不安症などの行動の変化 短期・攻撃的になる
不眠 不眠
下が紫色 舌が赤い

火タイプの体質のワンちゃんやネコちゃんは、熱がこもりやすい傾向にあります。

ペットフードを食べている子は「血虚 = 血液不足」の状態であることが非常に多く、手作り食を与えている場合でも炭水化物が多すぎたり、食事の内容が体質に合っていない場合は、消化吸収機能の低下から二次的な「血虚」や「内熱」が生じる場合があります。加齢や慢性疾患も原因の一つです。

「血液不足」と「内熱」が同時に存在している場合や他の状態が混在している場合もあり、このように複雑化している場合は専門の獣医師の診断が必要でしょう。

ここで一つ知っておいていただきたいことは、「血虚 = 貧血」「内熱 = 発熱」とは限らないということです。漢方医学ではいわゆる赤血球などの血球成分だけではなく、血脈中を流れるさまざまな滋養成分を含めて「血」と呼びます。つまり「血虚=血液不足」は貧血を指すこともありますし、血液によって全身に運ばれる栄養素や体液の量的な不足を意味していることもあり、その両方を指すこともあります。「内熱」は、さまざまな理由によって内臓など身体の内部に溜まる熱のことで、実際に体温計で熱を測った時に体温が高くなっている場合もない場合もあります。

どんな病気が隠れているの?

血虚や内熱は、すでに発症している病気の症状として現れることも、実際に病気になる前の「未病」のサインとして現れることもあります。いずれにせよ、放っておくと病気の悪化や発症につながります。

「血虚」や「内熱」はさまざまな犬猫の疾患と関係しています。

  • 主にかゆみ、落屑、膨疹を伴う皮膚病
  • 猫の甲状腺機能亢進症、犬の甲状腺機能低下症、糖尿病などの内分泌系疾患
  • 分離不安、攻撃性などの行動問題
  • ドライアイ、角膜潰瘍
  • 前庭疾患
  • 腎・肝疾患
  • 各種のがん・腫瘍

病気になってしまったら、血虚や内熱にいたった原因や体質を見極めて、これらを是正しながら同時に疾患の治療を行っていく必要があります。

日常のケアで状態を改善

最近、寝ている時に鳴いたり手足を動かしていることが多いなと思ったら、血虚や内熱を改善してくれる食材を取り入れることで、それぞれの状態の悪化を防ぎ、病気を未然に予防することができます。

 血虚を改善する食べ物

  • 赤身肉、レバー、マグロ、イワシサーモン、生骨(骨髄)、
  • 米、トウモロコシ
  • アルファルファ、アーティチョーク、ビーツ、緑色葉物野菜、しいたけ
  • りんご、あんず、マルベリー、アボカド(少量)
  • あずき、黒大豆、黒ごま
  • ハーブ類:ネットル、パセリ、カラトウキ、薏苡仁、タンポポの葉 … など

犬猫では特にレバーが効果的です。レバーをまったく食べていない子であれば、週数回ほんの少しずつ食事に加えるだけで、夢を見なくなることがあります。

 熱を冷ます食べ物

  • シーフード(特に貝類)、ウサギ肉、馬肉
  • 大麦、ソバ、小麦胚芽
  • アスパラガス、キャベツ、セロリ、きゅうり、もやし
  • りんご、ブルーベリー、マンゴー、メロン、ナシ、柿、パイナップル、すいか
  • キドニービーンズ、豆腐
  • ハーブ類:タンポポの葉・根、リコリス、菊花 … など

ブラッシング・マッサージ

このほか、「血液不足」や「熱」の原因が別にあれば、それらに効果的な食材も利用します。こういった食材を毎日少しずつ取り入れることで、徐々に状態が改善し、「血液不足」や「熱」を起こしやすい体質を改善することができます。

また、ブラッシングやマッサージは、末梢の血液循環を促すことで、血虚の症状を改善すると同時に、こもった熱を発散させる効果があります。ぜひ、毎日の習慣として取り入れてください。

漢方薬

症状、原因、全体的なバランス、体質などに合わせてさまざまな漢方薬を使用することができます。

血虚を改善する漢方薬

  • 補肝湯(血虚のみが症状の場合)
  • 加味四物湯(内湿が併発している場合)
  • 四物湯(内湿の蓄積や熱が併発している場合には使用しないこと)
  • 人参養栄湯(気虚も認められる場合)
  • 帰脾湯(胃脾障害を原因とする血虚に。内湿には使用しない)
  • 逍遙散(特に肝血虚から胃脾障害を生じている場合)… など

内熱を改善する漢方薬

  • 三仁湯・四妙散・龍胆瀉肝湯(湿熱が原因の場合)
  • 知柏地黄丸・六味地黄丸(腎陰虚からくる虚熱に)
  • 一貫煎(血虚・陰虚からくる虚熱に。内湿には使用しない)
  • 明目地黄丸・杞菊地黄丸(肝陰虚・血虚からくる目の症状に)
  • 天王補心丹(高齢動物の異常行動など、腎の弱まりからくる虚熱に)… など

漢方薬を使用する際は、それぞれの症状や体質にあったものを選ぶ必要があります。必ず専門の獣医師に相談しましょう。

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