獣医師によるペットの自然食・自然療法ガイド

Naturally Healthy & Happy

2016-2017 ⓒ Wholly Vet ナチュラルアニマルヘルス

レクチン除去食:あらゆる病気の治療になるか

2017/07/17

レクチンを減らす方法

すべてではありませんが、食物に含まれるレクチンの量をある程度減らすこともできます。

  • 加圧調理する。レクチンの一部は炊飯器などの圧力釜で圧力をかけて加熱することで壊すことができます。ただし、小麦や大麦、ライ麦、オーツ麦などのレクチンは壊すことができません。

 

  • 発酵させる。発酵に使う菌がレクチンを消化分解してくれます。

 

  • レクチンに結合する物質を食事と一緒に与える。N-アセチルグルコサミン、ブラダーラック(海藻)、D-マンノース、オクラエキス、シアル酸などが消化管内でレクチンと結合し、レクチンの吸収を防ぐことが知られています。

 

  • 善玉菌を増やす。腸内の善玉菌はレクチンを分解することができます。また、腸細胞に必要なエネルギー源を作り出すことで腸細胞の正常な機能を促し、レクチンによる腸バリアの破壊を防ぎます。プロバイオティクス(善玉菌)とプレバイオティクス(善玉菌のエサ)を食事やサプリメントで与えましょう。

 

  • 旬の野菜や果物のみを使用する。旬の時期に冷凍保存されたものもOK。

グルコサミンは獣医領域でも関節炎の治療に使用されていますが、グルコサミンは関節に直接働くというよりは食事中のレクチンを除去することで関節に蓄積するのを防ぐ役割を果たしているのかもしれません。

低レクチンペットフード

手作り食はハードルが高すぎると感じる方にお勧めしている低レクチンフードです(※注:本サイトはこれらの製品の製造元とは一切関係なく、これらの情報を掲載することで利益を得るものではありません)。

犬用

ZIWIピークシリーズ
エアドライ(ベニソン・ラム・ビーフ・マッカロー&ラム・トライプ&ラム)

  • 放牧され自然の状態に近い状態で育てられた家畜の肉を使用
  • 穀物・豆不使用
  • トライプ配合で善玉菌を補充
  • イヌリンが善玉菌を育てる
  • サバ(マッカロー)は天然もの
  • 缶詰製品にはひよこ豆が使用されているのでレクチンが含まれる

K9ナチュラルシリーズ
フリーズドライ総合栄養食(ラム・ビーフ・ベニソン・チキン)
缶詰(ラム・ビーフ・ベニソン・チキン)
パピー(フリーズドライ・缶詰)

  • 放牧され自然の状態に近い状態で育てられた家畜の肉を使用
  • 穀物・豆不使用
  • トライプ配合で善玉菌を補充(チキン以外)
  • ひまわり油が使用されているので完全にレクチンフリーではない
うちのワンコ・ニャンコに合うお肉は?

猫用

ZIWIピークシリーズ
エアドライ(ベニソン・ラム・ビーフ・マッカロー&ラム・トライプ&ラム)

  • 放牧され自然の状態に近い状態で育てられた家畜の肉を使用
  • 穀物・豆不使用
  • トライプ配合で善玉菌を補充
  • サバ(マッカロー)は天然もの
  • 缶詰製品にはひよこ豆が使用されているのでレクチンが含まれる

フィーラインナチュラルシリーズ
フリーズドライ総合栄養食(チキン&ラム・チキン&ベニソン・ラム&サーモン・ビーフ&ホキ)
缶詰(チキン&ラム・チキン&ベニソン・ラム&サーモン・ビーフ&ホキ)

  • 放牧され自然の状態に近い状態で育てられた家畜の肉を使用
  • 穀物・豆不使用
  • レクチンを含むキャノーラ油やひまわり油が使用されている
  • サーモンが養殖かどうか不明
うちのワンコ・ニャンコに合うお肉は?

最後に

病気の原因としてのレクチンの研究はまだ始まったばかりです。人のレクチン除去治療では、米国の心臓外科医 Steven Gandry 氏がもっとも有名でしょう。今年発売された著書 Plant Paradox(=植物のパラドックス・邦訳未発売)では、冒頭で述べた疾患のほか、ニキビ、シミ、乾癬、アレルギー、脱毛、歯周病、認知症、うつ、線維筋痛症、骨粗鬆症、リンパ腫、パーキンソン病など非常に多くの疾患の治療にレクチンフリー食が使用されています。この著書の中でもやはりレクチンを食事から除去するだけでなく、腸管の健康(正常な細菌叢)を維持することの大切さや抗生物質・NSAIDの無駄な使用の危険性が強調されています。

レクチンの中には健康によいものもあります。例えばニンニクニガウリに含まれるレクチンはその代表。自然療法でも使用されてきた食材です。さらに最近ではがん細胞だけを標的にして破壊するレクチンの研究も進んでいます。

雑食動物として進化してきた人間と肉食動物として進化してきた犬猫では、植物性食品に対する耐性も反応も異なります。そのため、人にとっては安全なレクチンも犬猫にとっては有害であるということも十分考えられますし、逆に人にとっては有害でも犬猫にはなんの作用もないものもあるかもしれません。

レクチン除去食が犬と猫にも同じように効果を発揮するのか。その答えを客観的かつ科学的に探るために、現在私たちはデータや体験談を集めています。興味をお持ちの獣医師の方、飼い主の方がいらっしゃいましたらぜひご協力をお願いいたします。

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参考文献

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  8. Pohleven J, Kos J, Sabotic J. Medicinal Properties of the Genus Clitocybe and of Lectins from the Clouded Funnel Cap Mushroom, C. nebularis (Agaricomycetes): A Review. Int J Med Mushrooms. 2016;18(11):965-975. PubMed PMID: 28008809.

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