獣医師によるペットの自然食・自然療法ガイド

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2016-2017 ⓒ Wholly Vet ナチュラルアニマルヘルス

逍遥散

逍遥散とは

逍遙散(しょうようさん)は、犬猫において非常によく使用される漢方処方です。肝臓と胃腸の不調和によって生じるさまざまな症状を緩和します。

漢方医学では、食物は胃で機械的な消化を受けたあと「脾」で血液やエネルギーなどの体に必要な栄養物に分解されると考えられています(「脾」は、現代医学の「脾臓」とは概念が異なり、消化吸収器官にあたります)。滋養の高い栄養物を含む血液は「肝」に送られ、そこから全身に送り出されます。

消化機能が弱まったり、体質に合わない不適切な食事によって十分な栄養分や血液を肝臓に送れなくなると、全身の血液やエネルギーの流れが滞り、元気が出ない、被毛が乾燥するなどさまざまな症状となって現れます。また、全身のエネルギーの流れが停滞することにより、消化器官がうまく機能できず、さらに弱まっていくという悪循環に陥ります。

逍遙散は、弱まった胃腸をサポートし、正常化することで、この負の循環を断ち切り、十分な栄養物が再びきちんと消化吸収されて肝臓に届けられるように改善してくれるお薬です。​

成分

  • トウキ
  • シャクヤク
  • サイコ
  • ビャクジュツ
  • ブクリョウ
  • カンゾウ
  • ハッカ
  • ショウキョウ

用量・用法

  • 1日量として、体重5 kg あたり小さじ1/4 または 体重1 kg あたり 60〜75 mg から開始し、1日2回食事とともに与える。副作用がない場合は、用量を2〜3倍まで増やしていく。

 

  • 2〜3週おきに症状を確認し、その都度、処方を調節する。

適応

①脾気虚(胃腸の弱まり)  ② 肝血虚  ③肝気虚のすべてが確認され、明らかな水湿の徴候がない症例。

脾気虚の症状

  • 軟便・便に未消化物が混ざっている
  • 食欲低下
  • 太れない
  • 虚脈

肝血虚の症状

  • 乾性脂漏症
  • 軽度の再発性表在性膿皮症
  • ドライアイ
  • 怯え・不安
  • 粘膜蒼白
  • 細脈・緊脈
  • 頻繁に夢を見る
  • ​アルブミン値の低下

肝血虚の症状

  • 肝酵素・コレステロール値の上昇
  • 便秘
  • 腹部膨満
  • イライラ・落ち着きがない・沈鬱

よくある疾患

消化器系

  • 消化機能の低下による慢性下痢/軟便・体重の低下・食糞症
  • 炎症性腸疾患(IBD)
  • ストレス性過敏性腸症候群(IBS)
  • 肝硬変
  • ヨーキーにおける肝障害とIBDの併発
  • 先天性小肝症
  • 慢性肝炎

行動問題

  • しつけ以外の理由で生じる分離不安症、攻撃性、なわばり行動
  • ペットホテル宿泊などの環境の変化によるストレスで、体調に変化があわわれる犬猫には予防的投与を行う

その他

  • 全身性毛包虫症(イベルメクチン不応性)
  • アレルギー性皮膚炎
  • ドライアイ(IBD、皮膚症状、肝炎などが併発する場合)

関連論文

症例報告(犬・猫)

  • Barrett R. Successful Treatment of Anxiety in a 10 year-old Weimeraner Using the Chinese Herbal Formula Xiao Yao San. J CIVT. 2014 Feb; 3(1): 26-32.
  • Bauer LA. A Chinese Medical Approach to Cholangiohepatitis in the Dog. J CIVT. 2012 Mar; 2(1): 13-21.
  • Van Der Laarse, S. Yucca: Treatment of Clinical Depression in a Dog with Xiao Yao San. J CIVT. 2011 Jun; 1(1): 3-8.

基礎・医学研究

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